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アンナ・ザイデル記念講演
03 APRIL 15
アンナ・ザイデル記念講演
『境の女神:中世日本宗教再考』

講師 ベルナール・フォール(Bernard Faure) コロンビア大学
言語 英語(通訳なし)  参加費 無料
日時 2015年4月3日(金曜日) 18時より
場所 京都大学人文科学研究所 東アジア人文情報学研究センター
〒606-8265 京都市左京区北白川東小倉町47番地

講演概要
仏教および神道という二大要素、ないし仏陀および神という二タイプの聖なる存在からなるものとして日本の宗教を考える伝統的なアプローチは,非生産的であり、誤解を招きやすい。このようなアプローチは、日本のカミガミの大半を、仏陀でも神でもない「中途半端なカミ」の身分に還元してしまうからである。奪衣婆と呼ばれるカミは、まさにその好例である。私は、この例から出発して、日本の宗教全般(ないし可能ならアジアの宗教一般)についての主張を行いたい。
アンナ・ザイデルは晩年のいくつかの論文で、奪衣婆の本性および機能について論じた。本論は、このトピックをめぐる彼女の研究への讃辞であり、同時にそれに付け加えられる註釈である。彼女の仕事への補足として、奪衣婆がもつ特徴的な二側面について述べてみたい。
すなわち、死者を裁くヤマ王に相当する女神としての隠然たる身分と、胞衣神としての胎生学的機能である。また、同時に、従来、特殊日本的であるとみなされてきたこのカミは、すでにインド仏教のうちにあった或るモチーフが再浮上したものであるということも強調したい。在来性と外来性、日本的なものとインド的なもの、神道的信仰と仏教的信仰、といった二側面は、絶えず広範なネットワークに織りこまれており、そのただなかに日本の宗教は構成されている。これらの二側面を分離したり、いずれか一方のみを強調したりするならば、この宗教から生きた中身を奪うことになるだろう。

講師紹介
ベルナール・フォール (コロンビア大学)
人類学史および文化史の視点から、密教の儀礼制度とその日本中世史への刻印を研究している。禅宗史研究から出発し、ポストモダンの方法論やセクシュアリティ・象徴解釈といった観点を導入して、仏教史の見直しを行っている。


主催:京都大学人文科学研究所、フランス国立極東学院
参加ご希望の方はお電話またはメールにてご連絡ください。

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